“引き分け決断”のダイナミズム

(2020年8月14日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)

小沢一郎先生が「新党に参加する意向を示したうえで『絶対に次の総選挙後は我々が政権だ。間違いない』と意気込んだ」という新聞記事がありました。

その根拠として、私は次の3つのことがあると思います。

一つは、衆参合わせて150人を超える勢力の野党になれば、小選挙区制の場合、これまでの政権交代の歴史からしても一挙に与野党逆転する可能性があること。

二つ目に、潤沢な資金を持つ国民民主党と資金がカツカツの立憲民主党が新党を結成することで、自民党に対抗できるだけの選挙資金を得ることになること。

三つ目に、この新党は「理念・政策」の違う人々が分党したあと合併するという形になるだけに、筋論的に「理念なき合併」というような批判を受けにくいこと。

選挙を控えた現段階において“数”“資金力”“理念の整合性”で「合併新党は政党力が増す」という小沢一郎先生の判断が、この力強い発言の根拠になったのではないかと思います。

国民民主党と立憲民主党の合併協議が大詰めを迎え混とんとした状況の際に、亀井静香先生を訪ね、意見をお伺いしたとき、亀井静香先生は次のような考え方を示されておりました。

「政権を倒す、政権を奪取するということは、首班指名選挙において自民党党首を超える数を集めるということだ。

合併して大きな野党をつくることで無理をするのではなく、野党各々が自らの個性を出し、政策を無理やり一致させることもせず、選挙区の調整だけをすることのほうが国民からはわかり易い。

つまり野党は選挙区調整を行って過半数を超えればいいが、万が一、超えなくても過半数に近づく数を確保すれば、最後は首班指名選挙で自民党の党首以外の候補者を自民党から見つけ出し、野党がその候補者に投票することで自民党が割れ、政権を奪取することができる」この亀井静香先生の話を聞きながら、「日本の政局をつくってきた本物の政治家は本当にすごい」と、身震いしたことを忘れることはありません。

亀井静香先生の「個々の野党が個性を出し選挙区調整をすることで過半数を超える・過半数に近づく戦略」が正しいのか、小沢一郎先生の「野党が合併し政権を担えるだけの“数”“資金”“理念”を合わせることで、選挙で過半数を超える戦略」が正しいのか、二大巨頭の政局観をいつも注視してまいりました。

今回、玉木雄一郎代表が決断した「分党合併」方式は、まさに亀井静香案・小沢一郎案の両案を併せ持つ決着の姿ではないかと、私は感じました。国民民主党は「残留組・合併組・無所属組」の3つに分かれはしても、自民党から政権を奪取したいという3チームであるという点からすると、亀井静香案が採用されています。

衆参で150人を超える政党が出来上がり、政党力が大きく増幅した新党は、まさに小沢一郎案が採用されたことになります。

玉木代表は、ギリギリの土俵際で、勝ち負けがつかない“引き分け決断”を選択するという、誰しもが予想できなかった決断を行ったと、私は思います。

予想できない政治の決断を導き出すことは政局をつくる最大の要因となるだけに、この決断によって政局が動くことになるでしょう。

その意味においては、今回の野党の再編は久しぶりに緊張感のある与野党関係をつくることになります。

緊張感のある与野党関係をつくれる野党の党首は、総理大臣になり得る素質があると、政局を見守る人たちは評価すると思います。

                      衆議院議員
                      下地ミキオ

※※※1週間前に配信されたメールマガジンを転載しております※※※
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