承認取消を巡る政治のドラマ

(2018年7月27日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)

沖縄県の翁長知事は今日、自らの信念でもある「米軍普天間基地の辺野古移設に係る埋立て承認の撤回」を記者会見で表明いたしました。

この決断は、「いつ行われるか」が注視されていただけに、決断そのものに驚きはありません。

この政治判断によって、翁長知事の再出馬という見方が大きくなることでしょう。

翁長知事を支持しない勢力は、「今の健康状態で、今後4年間、知事が務まるのか?立候補そのものが無責任だ」という論理を展開することは間違いありません。

しかし翁長知事は、今日の決断を11月の知事選挙で県民にジャッジしてもらうことが大事だと考えており、「4年間知事が出来るかどうか」ではなく、辺野古賛成か反対かを最優先しているのです。

 今後は、この「辺野古の埋立て承認撤回」に対して、国は撤回の効力を失わせる「執行停止」という法的措置で対抗することになります。

そして、国はこの裁判を起こすと同時に、裁判の最中であっても、工事を進めながら裁判を行うべきだという裁判も起こすことになります。

この辺野古の工事を中止しなくても良いという裁判所の判断が11月までに下りるかどうかが、今回の知事選挙を大きく左右することになるでしょう。

翁長知事は、「8月のタイミングで承認取り消しを行えば、11月18日の知事選挙前は辺野古の埋立て工事は中止されたまま進まない」という戦略の下に、会見の日を今日としたことは間違いありません。

一方、国は辺野古の土砂埋立てを行うことを宣言することで、翁長知事は埋立て承認の取り消しを7月中にしてくると想定し、「工事は着工したまま中止はしない」という判決を11月18日の選挙前に勝ち取る戦略でありましたが、承認取り消しが8月17日に延びたことで、非常に微妙な状態になってしまったと考えられます。

この6ヶ月間、水面下で繰り広げられた翁長知事と国との激烈な政治的攻防は、今日の会見を皮切りに表面化し、さらに激烈なものへと変貌を遂げるでしょう。

菅官房長官と翁長知事が記者会見で互いに厳しく指摘し合い、非難し合う場面を、多くの国民が見ることになると思います。

 ただ、皆様に申し上げなければならないのは、翁長知事はこの4年間で辺野古の埋立てを中止するという成果を出すことは出来なかったという事実です。

2016年12月に沖縄県が敗訴した最高裁判決を重く受け止めねばなりません。

普天間基地の辺野古移設問題は司法に判断を仰ぐものではなく、政治家が政治交渉によって決断するべきでした。

そのためには一方的な話だけではなく、双方から様々な提案を行い、翁長知事は国から辺野古の埋立て中止を勝ち取り、国は沖縄県と安定した安全保障のあり方を共有するという結論を導き出すことも、選択肢としてあったかもしれません。

また、辺野古の埋立てを認める代わりに、大胆な米軍基地負担の軽減が行われることも、選択肢としてあったかもしれません。

しかし両者とも大胆な交渉は一度も行わずして今日を迎え、また混乱が始まることになるのです。

「政治は交渉」このキーワードがもっと重く受け止められるようにならなければ、この辺野古の問題に司法がジャッジしても、沖縄の米軍基地問題を巡って、これまで以上に根深い対立が続くということになることを私は心配します。

国・県の両者ともに、米朝首脳会談のようなダイナミックな提案と行動をとれないものでしょうか。

奇しくも今日は、朝鮮戦争休戦協定65周年という日にあたりますが、北朝鮮の安定が沖縄の米軍基地問題に大きな影響を及ぼすということを考えると、まさに因縁めいたものを感じる今日の承認取り消し表明となりました。

衆議院議員
下地ミキオ

※※※1週間前に配信されたメールマガジンを転載しております※※※
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