世にも珍しい買収劇

(2019年1月25日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)

本日のメルマガは、オリオンビール買収劇についての私の考え方を、2枚の分量で書かせていただきます。
ぜひお読みください。

今週一週間の沖縄は、オリオンビールの買収劇で揺れ動きました。
「敵対的な買収」か、それとも「友好的な買収か」に注目が集まることとなりました。
それは、このオリオンビール買収劇が、沖縄県民のアイデンティティに関わる事だからであります。

23日のオリオンビール取締役会は、外資ファンドのカーライルと野村ホールディングス(HD)のMBO受け入れを全会一致で了承し、
その後、全社員に対する説明を行いました。しかし、このオリオンビール買収劇は、
オリオンビールの取締役会了承という商法的観点や、オリオンビール社員への説明責任よりも、
沖縄県民全体に対する説明責任を果たす義務がオリオンビールにあるという事を忘れてはなりません。
なぜなら、オリオンビールは“沖縄県民の地元ビール”として育てられてきた歴史があるからです。

「宴席の最初の乾杯音頭は地元オリオンビールでカリーで行こう」これが、沖縄県民の間での暗黙の了解でもありました。
そして、その沖縄県民の地元のビールであるという位置づけで、オリオンビールは復帰後46年に渡り、毎年酒税の軽減措置を受け、
その総額は1千億円を超えるものとなりました。
「オリオンビールは、絶対に県民の地元ビールであり、アサヒビールやキリンビールといった、一民間企業のビール会社ではない」これが、私のオリオンビールに対する政治的認識であります。それだけに、今回のオリオンビール買収劇は、「敵対的」なのか「友好的」なのかが重要です。
そして、「友好的か敵対的か」の定義は、商法による法律的観点だけではなく、沖縄県民がどう見ているかが最も重要であります。

今回のオリオンビール買収劇のスタートは、創業者一族が長年に渡り、オリオンビール経営陣に対する不満、つまり、株式の配当の低さに対する不満を発端とした、シンプルな「御家騒動」の構図であります。
創業者一族が、オリオンビール経営陣に対する不満への対抗策として、外資ファンドのカーライルに対して、
自ら保有する16%の株式の高値の売却を持ちかけた事が、買収劇のスタートであります。
一方、この創業者一族に対してのオリオン経営陣がとった対抗策が、外資ファンドのカーライルに対しての野村HDです。
しかしその後、両者の間で、オリオンビールの財務、営業、資産などの徹底的な経営分析が行われ、交渉を重ねていくなかで、
結果として、オリオンビール買収劇の構図は一挙に変わる事になりました。
それは、創業者一族との協議に基づきオリオンビール経営陣に対して事業成長戦略・資本政策の提案を行っていたカーライルと
そのカーライルの提案を受け入れずに対抗策を検討していたオリオンビール経営陣から委託された野村HDの協調であります。

また、オリオンビールの酒税の軽減措置廃止後の経営をサポートする為に業務提携させたアサヒビールが、カーライルと野村HD側に乗ってしまいました。
このオリオンビールとアサヒビールの業務提携は、山中貞則先生とアサヒビール瀬戸会長との間で決められました。
業務提携の内容は4つでありますが、1つ目は「オリオンビールの株を10%持ち、それ以上は持たない事」
2つ目は「アサヒから1名をオリオンビール役員として配置し、経営体質を強化する」
3つ目は「アサヒが沖縄で販売するビールは、オリオンビールの工場で作る」
4つ目は「全国のアサヒの自動販売機に、オリオンビールを設置する」でありました。

この4つを決めた山中貞則先生と瀬戸会長は、今日の様なオリオンビール買収劇が起こらぬようにとの思いであった事は間違いありません。
しかしアサヒは、オリオンビールを守る立場ではなく、逆の立場を選択しました。オリオンビールに強い影響力を有するアサヒビールは、この買収劇を了解したのです。
このことにより、当初の買収劇とは全く違う構図となり、このオリオンビール買収劇は、世にも珍しい買収劇となった事は間違いありません。

今回のオリオンビール買収劇は、商法上においては、「敵対的買収ではない」ことは明らかです。
しかし、沖縄県民からすれば、「オリオンビールがこれまで県民に声高らかに訴えてきた“オリオンビールは地元のビール“は、果たして何だったのか?」
「地元ビールだからこそ受ける事が出来た、1千億を超える”酒税の軽減措置“は一体何だったのか?」となり、
沖縄県民が釈然としないのは当たり前の事であります。

「オリオンビール経営陣・カーライル・野村HD・アサヒビール」によるこの買収劇が、沖縄県民に何をもたらそうとしているのか、丁寧に説明をする義務があると思います。
「オリオンビールの資産が目当てで、それを売却して収益の高い会社に上場して、この上場益だけが目的なのか?」
「オリオンビールの本業であるビール事業を再生して、ビール事業の付加価値を上げて上場することで沖縄における投資を増やし、雇用を拡大して、沖縄県民に貢献するのか?」まだ誰にも分かりませんが、いまハッキリと分かる事は、2つだけです。

1つ目は「オリオンビールの自主的自立を最後まで期待していた山中貞則先生が悲しんでいる事」もう一つは
「この買収劇のスタートを画策した創業者一族株16%と、個人株5%のオリオンビール株式を売却して「80億円」「50億円」の大金を得て微笑む姿は屈辱に耐えがたいものである事」です。

改めて申し上げたいと思います。
「カーライル・野村HDは、沖縄県民と共に歩みたいと考えているならば、早くその経営方針を示すべきです」

                      衆議院議員
                      下地ミキオ

※※※1週間前に配信されたメールマガジンを転載しております※※※
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