下地ミキオの”戦果アギヤー”

(2019年3月15日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)

私は「宝島」を読み終えて、「感動して涙を流し、自分の政治の方向性を見つめ直してみたい」という心境になりました。

この本に出会えた事は、心から幸せでした。

平成最後となる第160回直木賞を受賞した真藤順丈さんの「宝島」は、多くの方に、特に安倍総理大臣、菅官房長官には必ずお読みいただきたい。

その上で、今の沖縄への向き合い方が最善なのかどうかを自問自答し、政策を進めるべきだと思います。

「沖縄のことを書いた小説が直木賞を取ったので読んだほうがいいよ」友人からの軽く何気ないアドバイスで、この本と出会いました。

この本一冊を読み終えるのに15日間の時間を費やすほど、丁寧に丁寧に読み進めました。

それはページをめくると同時に、内容を今一度確認するために前のページへ戻るというケースが多かったからであります。

この物語の中心に描かれているのは「戦果アギヤー」=“戦果を上げる者達”です。

アギヤーは沖縄方言で「何かを成し得ること。またその成果を多くの人々に分け与える」という深い意味をもつ言葉であります。

アメリカ統治下に置かれた1952年、この本で語られる“戦果アギヤー”は、米軍基地から物資を略奪し、その物資を沖縄の貧しい人々に配り、生活を支える、みんなから感謝される存在でありました。

略奪という行為は許される事ではありませんが、戦争で12万人余の沖縄県民の命が奪われ、それが親兄弟であったという事実を深く認識しなければなりません。

当時の沖縄の人々の感情からすれば、戦争で戦った米軍の基地から物資を略奪して貧し人々に配る行為は、今の善悪・法律論で語る事は出来ず、この行為そのものが英雄的なものになる事は必然的ではないでしょうか。

“戦果アギヤー”が嘉手納基地の中に忍びこみ、略奪を失敗した事から、この物語は始まります。全戦全勝だった“戦果アギヤー”がなぜ失敗したのか、その背景には一体何があったのか。

そして物資を略奪するだけだった“戦果アギヤー”が、アメリカ統治下の沖縄県民を一番苦しめたとされる「キャラウェイ高等弁務官を暗殺する」事が“戦果アギヤー”だという過激な行動に変化し、そして「沖縄の祖国復帰の実現」が“戦果アギヤー”だと考えて行動する。

まさに、当時の沖縄の複雑で予想しがたい社会背景の描写には脅かされるものであります。

沖縄の人々が望まない様々な矛盾の現実が、“戦果アギヤー”の目的や考えを変えて行く姿に、私は強く強く心を揺さぶられました。

特に物語の終盤、505ページに記された沖縄を思う気持ちには、激しく胸を揺さぶられました。

沖縄の祖国復帰を交渉する場面で「本土復帰には条件をつけてまず、日本の首都をコザに持って来る事。内閣総理大臣は佐藤栄作を更迭して、屋良朝苗か瀬長亀次郎がなるべきだ。そうでなければ日本復帰は白紙だ」という部分は、非現実的でありながらも“沖縄の心ここにあり”と感じたのは私だけではないと思います。

沖縄が日本政府と互角に戦うという強い思いは非現実的ではありますが、私の心にストンと落ち「あぁ、これが沖縄県民の願いでもあり戦い方なのだ」という思いで、これが今の沖縄の政治にあるのかを考えさせられました。

「宝島」は、沖縄の真心を丁寧に描写し、沖縄の政治に何か大事なのかを問いかけました。

私は沖縄の政治家として、「下地ミキオはどのような“戦果アギヤー”になれるのか」を模索してまいります。

                      衆議院議員
                      下地ミキオ

※※※1週間前に配信されたメールマガジンを転載しております※※※
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