世界と互角に交渉“戦略”

(2019年5月24日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)

今月15日、アメリカのトランプ大統領がかねてから検討していた「情報通信技術とサービスのサプライチェーンの保護に係る大統領令」に署名しました。

これにより、中国の通信機器大手ファーウェイは、アメリカの公共施設などから排除されることになりました。

また“ファーウェイ排除”と時を同じくして、米連邦通信委員会(FCC)は、アメリカ携帯電話大手のTモバイルとスプリントの2社合併について「合併は公益にかなう」として承認する意向を表明しました。

これについては、トランプ政権が通信第5世代(5G)の世界競争で優位に立ちたいとの思惑があるのだろうとの報道もあります。

 アメリカの“ファーウェイ排除”により、「ファーウェイの新型スマホでは、グーグルの関連ソフトが使用できない懸念がある」として、日本においては、通信大手3社のうちNTTドコモが「予約受付を停止」、KDDIとソフトバンクが「発売時期の延期」を発表しましたが、これを額面通り受け止めるわけにはいきません。

ファーウェイの携帯通信インフラ(通信回線・通信機器・施設など)の世界シェアは26%であり、北米6%、ヨーロッパ・中東アフリカ40%、アジア・太平洋30%であり、圧倒的にヨーロッパでのシェアを占めているのと同時に、アメリカのシェアは微々たるものであることから、大きなダメージを受けることにはならないと思います。

また、日本においてのファーウェイ製品の販売取扱いが小売店だけとなれば、市場のシェア占有率は確実に落ちることとなり、ぽっかりと空いたパイを巡って日本企業による争奪戦が激化することは間違いありません。

 私はいま、「なぜ中国という国家が、中国企業が、大国アメリカとこれほどまでに互角に戦えるのか」という点に注目しております。

私の仮説は、中国は軍事力を増強し続けるなかにおいて、アメリカから必ず経済的な制裁があることを予見し、それを見越した長期的な戦略をつくりあげ、どう乗り越えるかの準備をしてきたのではないかというものです。

世界銀行はアメリカが総裁を務め、アジア開発銀行は日本が総裁を務め、そのような状況を打破するために、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立し、経済規模を欧米頼りにしないためにも巨大経済圏構想「一帯一路」を発表しました。

中国は着々と、現在のような状況を迎えることを想像し、“脱・アメリカ市場”という戦略を練り上げてきたのではないか。

そして、中国企業の代表であるファーウェイも、その方針に基づいて会社のビジョンをつくってきたのではないか。

これらはあくまで下地ミキオの想像ではありますが、とはいえ、中国がアメリカとこれだけ熾烈な経済交渉を行えるのは、「戦略」があったからであります。

 このような状況を踏まえ、わが国も「長期ビジョン」と「大きな柱を持った経済政策」をつくらなければなりません。

国・経営者の統治能力は、セーフティーネットの構想力をどこまで持てるかが問われます。

それを棚上げにしたまま前に進むことだけを考えれば、ある意味“無謀な政策”となることは間違いありません。

今後の米中の交渉がどうなるのかはまだわかりませんが、この交渉の行方のオモテ・ウラ・ミギ・ヒダリの全てを検証し、それに基づいた日本の国家戦略をつくるべき時期を、私たちは迎えていると思います。

                      衆議院議員
                      下地ミキオ

                     

※※※1週間前に配信されたメールマガジンを転載しております※※※
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