緻密な戦略~各国外交を紐解く

(2019年7月5日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)

G20大阪サミットが閉幕した翌日、トランプ大統領の呼びかけによって、3回目の米朝首脳会談が、板門店において電撃的に実現しました。

これはまさに、政治外交を感じさせるドラマチックで歴史的な出来事であり、政治家として感動しました。

朝鮮戦争後、現役の米国大統領が北朝鮮領内に足を踏み入れたのはトランプ大統領が初めてであります。

私たちは、この奇跡的な外交から新しい朝鮮半島の平和をつくりあげていかなければなりません。

その時、日本は中心的な役割を果たす使命があるだけに、ネガティブで慎重なとらえ方ばかりではなく、大胆にチャレンジ外交を行い、アジア全体のトップリーダーとしての存在感を示さなければなりません。

さて、この電撃的な米朝首脳会談は、トランプ大統領のTwitterを使っての“即興”であったとの報道がありますが、Twitterはあくまでも手段であり、今回の米朝首脳会談は、十分且つ強かな戦略の下に根回しされ、実現したと見るべきであります。

まず、G20大阪サミット前に、中国の習近平国家主席が北朝鮮を訪問したことから始まりました。

中国は、米国に朝鮮半島問題解決への強い意志があることを強く認識したなかにおいて、北朝鮮を事前に訪問し、金正恩氏から米国との交渉におけるカードを受け取り、米中首脳会談を行いました。

その結果、G20大阪サミットにおいて、米国との貿易交渉を優位に進めたいという思惑を見事に果たしたのです。

具体的には「ファーウェイへの部品販売を認める」「約33兆円分もの中国製品への追加関税を先送りにする」ことであります。

これは、中国にとっては100点満点の交渉結果だと言っていいのはないでしょうか。

このことで、トランプ大統領は歴史的な出来事を自ら演出することに成功しました。

北朝鮮も、米中貿易交渉に自らのカードを差し出したことで、中国に対してある一定の強い存在感を得ることになりました。

また、韓国の文在寅大統領は、G20大阪サミットにおいては、安倍総理とも会談ができないという厳しい環境でありましたが、トランプ大統領を板門店まで案内し、「米・韓・朝」の会談に参加したことは、政治的に大きな成果を得たと言っても過言ではありません。

この朝鮮半島を取り巻く枠組みのなかで、ただ一人、成果を得られていないのが安倍総理であります。

中朝会談の内容は、漏れ聞こえるところによると、金正恩氏が安倍総理の「無条件交渉」について真意を測りかねている。

つまり「無条件交渉」という言葉に、具体的な魂を入れたメッセージを北朝鮮側に発信しなければ、今の膠着状態を打開することはできません。

日米同盟という強い絆をつくり上げてきた米国の大統領が朝鮮半島に乗り込んでいるということを考えれば、このチャンスを逃すわけにはいかないのです。

「幼児教育の無償化の対象に朝鮮学校を認める」「人道的視点から、人的交流を一部認める」「日本独自の制裁の中で、解除できるものを決める」これらのことが、「無条件交渉」に魂を入れることになると考えます。

そして、本格的な交渉に入り、安倍総理の訪朝を実現し、ミサイル・核・拉致問題を解決する突破口を開くべきであります。

安倍総理は、細かなことを気にすることなく、大胆に第2の「トランプ」になるべきではないでしょうか。

                      衆議院議員
                      下地ミキオ

                     

※※※1週間前に配信されたメールマガジンを転載しております※※※
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