初動の失敗が危機を生む

(2019年3月13日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)

 

危機的な状況に直面すると、私は、ある政治決断を思い出さずにはいられません。

それは、いわゆる「モラトリアム法(中小企業円滑化法)」を作ったときのことです。
この法律は、平成21年12月4日より施行され、2度の延長を重ねた後、平成25年3月末までの4年間実施されました。
いわゆる「亀井法」とも呼ばれ、利用した企業は「40万社」、利用件数は「400万件」、金額にして「114兆円」という、まさにダイナミックな金融政策を実行する根拠となりました。

「あの当時、リーマンショック後の経済を立て直そうと、中小零細企業の支援に焦点をあてた『亀井法』が実施されていなければ、日本経済を支える中小零細企業はどうなっただろうか」と想像するだけでも、寒気がする思いであります。

「早急かつ大胆な政治決断」によって結果が実ったことを、私たちは決して忘れてはいけません。

米国のトランプ大統領は、3月11日、「英国を除く欧州から米国への全ての渡航を30日間停止する」「大規模な減税・大規模な雇用対策を行う」と、国民向けのテレビ演説で発表しました。

今年1月の段階では「新型コロナ対策は十二分に効果が出ている」と自信を示した大統領でしたが、今やその自信は大きく失われ、1億5000万人もの感染者が発生するのではないかと言われるほど、危機的状況を迎えております。

これはやはり、新型コロナを甘く見て、初動段階での判断ミスが招いた結果だと見るべきです。

「政治家は、自らの政策の初動を間違えたとき、それを補うために、国民の危機感を煽る以外に道がなくなる」。

この典型例が、トランプ大統領です。

中国の習近平国家主席は、約1.8兆円もの新型コロナ対策予算を組み、同時に規制強化にも乗り出しました。

しかし、この予算は、中国のこれまでの軍事予算と比較すれば「本当に小さく」、世界の国々は「感染者や死者の最も多い国の対策予算が、この程度なのか」と呆れるしかありませんでした。

また、武漢での封じ込めに失敗したため、習近平国家主席は事実上の「戒厳令」を出し、異常なまでの情報統制で国民の危機感を煽らざるを得ませんでした。
結果として、この初動のまずさが「パンデミック」への伏線となり、中国もまた、初動対応を誤ったと言えます。

日本では、本日(3月13日)「新型インフル特措法改正案」が成立します。国が緊急事態宣言を出すことを可能にするこの法案によって、大きな権限で国民の統制ができるようになるのでは、という危惧もあります。

「新型コロナ対策が後手後手に回り、日本国内がパニック寸前まで来たために、この改正案を成立させざるを得なくなった」という声を、私の周辺ではよく耳にします。

しかし、皆さん。世界の人々の多くは、「日本人は、東日本大震災の際に、モノ不足でも決して暴動を起こさず、冷静な判断をした」と称賛しました。

この評価が、その後の東北復興を押し上げる大きな支えとなった事は間違いありません。

この改正案が成立した後、万が一実行される事態を迎えた時、安倍総理は、識者や各政党、それに、経済界や労働界の意見を聞き、慎重に慎重を重ねて判断すべきだと思います。

トランプ氏や習近平氏のように、自らの保身のために政治判断をするのではなく、「この法案の実行は、日本という国が脈々と受け継いできた“礼儀・譲り合い・助け合い”の文化を自己否定するに等しい」という思いを持つことが大事です。

衆議院議員
下地ミキオ

※※※1週間前に配信されたメールマガジンを転載しております※※※
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