(2021年1月21日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
先日、タクシーの運転手さんから衝撃的な話を聞きました。私が1日の売上げ額を尋ねたところ、「ミキオさん、3,000円しか売り上げない日もあるんですよ」とおっしゃるので、私が「えぇ?歩合制だから手取りは1,500円でしょ?時給にしたら200円以下ってことですか?」と問い直すと、「そうなんですよ」という答えが返ってきました。
私の友人の娘が、会社から何の前触れもなく3日前に解雇通告を受けました。
その娘さんはショックのあまり立ち上がることもできず、友人は心配のあまり、娘のいる福岡まで飛び、アパートを引き払い、沖縄に連れ帰ってきたとのことでした。
これは、コロナの感染拡大による会社の経営環境の悪化からの出来事です。
私の毎朝のルーチン、朝の弁当屋さんを巡りの時には、「ミキオさん、“油が値上がり”しました。
“肉も値上がり”しました。
“小麦粉も値上がり”しました。
だけど、私の弁当の値段を350円から上げることは出来ません。
私の弁当を買ってくれるお客様の大半は学生さんだから」
様々な企業を訪問させていただき、経営者の皆様から様々な声を聞かせていただいております。
そのなかで、岸田総理の看板政策である“3%賃上げ”について社内で論議をしたら、「社長、今の経営環境では到底難しいですよ」という結論だったということです。
“3%賃上げ”をしなければ、公共工事入札の際の経審点に影響が出るが仕方ないと考えられており、“賃上げ”と“経審点の上積み”を取引するかのような政策は納得できないということでありました。
これまで挙げた4つの様な事柄が、本当に多く聞こえてくることで、沖縄の経済環境がいかに厳しいものであるかを、つくづく肌身に感じております。
そしてこれに輪をかけるのが、オミクロン株の爆発的拡大で、新型コロナウイルス感染症の収束がなかなか見えてこないなか、ガソリン価格の上昇をはじめとして、物価が上がり続けていることで、経営者が先を見通せない状況を、本当に心配しております。
私が、岸田総理と玉城デニー知事に望みたい政策は、1点目に「中小・零細企業の現状を乗り切るための資金繰り策」と「金融庁から支払い猶予を銀行に対して明確に示すこと」。
2点目に「公共事業の発注を全て前倒しで年度初めに行う事」。
3点目に「資金繰り対策として前払い金の額を大幅に増額すること」。
4点目に、「政治家が“この時期を乗り越えれば未来がある”という企業経営者のモチベーションを上げる政策を示すこと」。
いま、私たち政治家は、「企業のリアルな経営環境」と「国民のリアルな生活環境」を直視して政策をつくるべきです。
今やるべきは、“3%賃上げ”ではなく、“雇用を守り”“賃金の安定を図り”“賃金を下げない”ことです。
政治は、国民がご飯を炊く釜の煙が多くのぼっているのか、細く弱っているのか、つまり国民生活が豊かなのかそうでないのかを感じながら、それに対応した政策をつくるべきなのです。