(2023年3月24日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
国と沖縄県は、今年4月以降の沖縄電力の大幅な電気料金の引き上げ対策として、104億円の補助金の拠出を決定いたしました。
この104億円は、地方創生臨時交付金43億円、沖縄県の基金(一般財源)36億2000万円、沖縄振興特定事業推進費24億8000万円で構成されています。
前回のメルマガで、下地ミキオは「沖縄電力の39%の料金値上げ申請は、3分の1に抑えることができる」という提案をいたしました。
提案の3つの柱は、「①沖縄電力の沖縄県への資産の売却 ②沖縄電力の関連会社の売却 ③沖縄電力の構造改革による経費削減」であり、沖縄電力が値上げを抑えるための大胆な対策を自力で行うことによって、補助金に頼らず、安い電気料金を将来にわたって沖縄県民に提供できるというシナリオであります。
今回の104億円という補助金頼りの対策は、沖縄電力の改革を阻害するばかりか、将来にわたって沖縄県民に他府県よりも高い電力料金を払わせ続けることになると、強く危惧します。
前回のメルマガで書かせていただきましたが、経済産業省のデータによれば、沖縄電力と九州電力の過去30年間の電気料金を比較すると、家庭用約1780億円・事業用電気料金約4180億円、合わせて約6000億円もの過重な負担を沖縄県民が背負ってきたのです。
この現実を直視する時、国と沖縄県の今回の判断は、後世に禍根を残すものになるだろうと、私は思います。
104億円の税金を投入する今回の支援策は、4月から9月までの5か月間に限定されており、10月以降は4割値上げされた高い電気料金が沖縄県民に課されることになるのです。
沖縄経済界の一部は、「10月以降も支援が求められる」と公式にコメントしておりますが、このようないい加減な対策を求め、またそれに応じることがあれば、開いた口が塞がりません。
“沖縄振興特定事業推進費”は、内閣府が市町村に直接交付する80億円ほどの財源です。これまで、沖縄アリーナ、那覇市第一牧志公設市場の整備等に活用されてきました。
今回、電気料金の値上げ対策に24億8000万円回されれば、市町村の様々な施策に影響を及ぼすことになります。
“地方創生臨時交付金”は、この3年間、私たちを苦しめてきたコロナによる様々な社会環境のひずみをサポートするための財源です。
厳しい環境におかれている観光業界への支援、シングルマザーや生活困窮者への支援等に充てられるはずの予算が、43億円という規模で本来の政策の趣旨とは違うことに使われることは、私は大きな問題だと思います。
“沖縄県の基金(一般財源)”は、偶発的な災害や庁舎建設をはじめとする長期的な財源として県民が積み上げてきた貯蓄であります。
災害でもなければ沖縄県の長期ビジョンでもない電気料金値上げ対策に、この基金を36億2000万円も使うことは、納得できるものではありません。
県民の皆さん、ミキオが示している「沖縄電力の改革によって安価の電力供給を実現し、沖縄経済を成長させ、県民生活を守るプラン」と、「沖縄電力に補助金を与え、改革がまったく行われないまま、次の世代まで高い電気料金による負担を残す現状路線」のどちらを選びますか?
「沖縄県にとって必要な政策予算104億円が失われることで、沖縄県民がいかに厳しい環境に陥るか」について、考えてみてください。
また、沖縄電力の株価は2018年から下がり続けていますが、補助金頼りの沖縄電力から脱皮し、改革の姿が見えれば、一気に上がるでしょう。
株主に対しても、今回の税金104億円による支援は、愚策なのです。
政治は「提案」と「決断」です。