(2023年3月31日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
私のメルマガでは、指摘するだけではなく、必ず独自の提案をするように心がけています。
今月は、メルマガとYoutube等で、2度にわたり、沖縄電力の改革案について、「指摘」と「提案」をさせていただきました。
それほどまでに、私は沖縄電力の電気料金の値上げについて、大きな危機感と疑問を持っております。
なぜならば、電気料金の値上げは、県民生活の過重な負担となり、企業経営の利益も大きく圧縮するからです。
「これらの問題を解決したい」というのが、政治家・下地ミキオの強い思いであります。
沖縄電力の電気料金値上げに対する提案の第1弾は、「料金値上げ申請の額を3分の1に変更する」ことです。
「1.資産の売却」、「2.関連会社の売却」、「3.会社の構造改革」を行って、2000億円規模の財源をねん出し、内部留保1,300億円と合わせた3,300億円を原資にして、沖縄電力が申請している値上げ分を3分の1にまで抑える提案です。
この提案は、決して難しい提案ではなく、一般的に、経営が厳しくなった企業が実行するオーソドックスかつ単純な再建案(経営判断)であります。
厳しい経営状況に陥った企業は、これら3つを決断・実行した後、“新たな資本投入”、“M&A”、“次の高度なステップへの移行”を行うのが、企業経営の当たり前の流れです。
だからこそ、「1.資産の売却」「2.関連会社の売却」「3.会社の構造改革」を実行しないままに、「電気料金を値上げして赤字を埋め合わせる」という再建策は、私の頭の中にはありません。
提案の第2弾では、「“補助金を使って沖縄電力の経営再建を図る”というやり方は、沖縄電力の株価を暴落させる」ことを示しました。
2018年に2,500円であった沖縄電力の株価は、2023年には1,024円に下落し、時価総額は1,269億円から591億円と、実に678億円の損失となっています。
これは、株主にとって大損害であると同時に、沖縄において独占的に電力事業を担っている企業の株価が大幅に下落することは、県民生活に計り知れない影響を与えることになりかねません。
沖縄県は、沖縄電力の3番目の大株主であるにもかかわらず、県民のために「物言う株主」としての立場を放棄してきました。
経済産業省のデータによれば、沖縄電力と九州電力の過去30年間の電気料金を比較すると、家庭用約1,780億円・事業用約4,180億円、合わせて約6,000億円もの過重な負担を沖縄県民が背負ってきました。
しかし沖縄県は、沖縄電力の株主という立場にありながら、経営再建のための提案は一切行わないまま、税金の投入を決定いたしました。
沖縄電力に補助金を投入すればするほど、市場は、「沖縄電力は自らの力で再建できない企業だ」と判断し、株価は下がり続け、時価総額も危機的な状況になることは間違いありません。
今こそ長期ビジョンを持ち、沖縄電力の改革を実行すれば、沖縄の電気事業が安定化し、「安価な電力」「産業の創出」「雇用の増加」「所得の向上」「貧困の解消」「児童虐待・DVの根絶」へとつながる道が開かれるのです。
沖縄県議会では、自民党・共産党・公明党が一緒になって、この補助金の投入を議決しました。
これがいかに安易な政治判断であったかが分かる日は、そう遠くないでしょう。
わずか5か月間、電気料金の値上げを抑制するために、140億円もの血税が投下される。
しかし、何一つ根本的な解決はできない。
今回の沖縄電力の値上げ問題を通して、「沖縄の次世代をどう創るのか」、沖縄県民にボールが投げられました。
中央政府からの大きな予算を期待し、特別扱いを受け続けることは、沖縄の未来にとってマイナスでしかありません。
「新しいアイデアで、新しい提案をする」
それこそが、私たち沖縄の未来に繋がるのです。