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玉城外交の真価を問う

(2023年7月14日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)

 沖縄県の玉城デニー知事は、7月3日から7日までの日程で、中国を訪問し、地域外交を行いましたが、「玉城デニー知事のカチャーシー」が連日、報道を賑わせています。

7月5日に北京沖縄県人会と昼食した玉城知事は、「唐船ドーイ」の曲に合わせてカチャーシーを踊りましたが、その動画がSNSなどで拡散され、「酔っぱらい」「中国政府関係者の前で楽しそうに踊るとは何事だ」等、批判的なコメントが数多く寄せられていると言います。

 私は、玉城知事が、中国で頑張っている沖縄県人の皆様の前で、カチャーシーを披露したことは、理解できます。

しかしなぜ、ここまで批判の声が高まることになったのかについて、私は、中国訪問前の6月26日、沖縄県議会本会議での答弁が大きな要因になっているのではないかと考えています。

「中国側から、『尖閣は古来、中国の領土だった』と言われたら、どう対応するか」との質問に、玉城知事は、「いろいろな対応があろうと思うが、発言しないことも一つの対応。即答しないことも検討したい」と答えました。

この答弁により、「尖閣問題が議題に挙がったとき、玉城知事の態度次第では、中国は、『尖閣は我々の領土だ』尖 と認識するかもしれない」との懸念が強まったのです。

「『中国側が何と言おうと、尖閣は我々日本固有の領土であり、論議する問題ではありません』と主張します」というような答弁を行なっていれば、カチャーシー問題がここまで大きくなることはなかったのではないでしょうか。

しかし私は、玉城知事の今回の中国訪問において、カチャーシーよりも、もっと重大な失敗があったと思っています。

首里城再建の台湾紅ヒノキの引き渡し式が中止になったことです。

火災で焼失した首里城復元に向け、台湾はベニヒノキ5本を日本に無償提供する予定で、当初は5日に北東部・宜蘭県内で寄贈式が行われることになっていましたが、急きょ前日に中止が決まりました。

台湾のベニヒノキは、国外への輸出が法律で禁じられておりますが、沖縄と台湾の歴史的つながり、そして日本と台湾が長年培ってきた助け合いの精神から、その大切なヒノキを、首里城の復元に無償提供することを決めたのです。

7月5日に予定されていた寄贈式は、間違いなくかなり以前から日程が調整され、そのための準備も着々と進められていたはずです。

そのなかで、玉城知事が中国訪問を決めたことについて、台湾側はきっと、その意図を推し測っているのでしょう。

玉城知事の訪中の期間に、台湾の議会・立法院トップである游院長が与那国島を訪れたことも、普通に考えれば「知事不在の来沖はあり得ないこと」であり、そこには台湾外交の何かしらの意図があったと思います。

外交は難しいものです。

今回、玉城知事は、中国訪問と台湾ヒノキの寄贈との優先順位において、中国を選びました。

大事なことは、この先、「台湾の思いをしっかりと汲み取った寄贈式を行えるかどうか」です。

「台湾」と「中国」、双方との成果を勝ち取れるかどうか、玉城知事の地域外交の手腕が問われます。

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